「日御子」上・下 帚木逢生:著 講談社:刊
帚木さんは昔から好きでよく読んでいました。「三たびの海峡」や「ヒトラーの防具」など歴史モノが特にお気に入りでした。
「日御子」も歴史モノですが、弥生時代のお話です(おそらく)。タイトルから推察できるように「卑弥呼」をモデルにしていますが、「卑弥呼」のお話かというと、その時々の為政者に仕えた使譯(通訳)一族のお話でした。
この時代の人々がどんな暮らしをしていて、どんな思いだったのか、垣間見ることがきました。(フィクションですが)
この時代はまだ手掴みで食べていたのか、昔から日本人は勤勉だったのか、など。
また、金印「漢委奴国王」や「親魏倭王」など学校で習った懐かしいワードも出てきて、単なる暗記のために覚えていた言葉が、物語の中で生き生きと実感を持って感じることができました。
そうか、「奴」とはそういう意味だったのか、そんな思いが裏に隠されていたとは・・・、などなど。
ちなみに使譯一族9代に渡る物語ですので、上巻には卑弥呼の影かたちもありません。
「ルーム・オブ・ワンダー」ジュリアン・サンドレル:著 NHK出版:刊
ミステリー以外で久々の翻訳書を読みました。翻訳書はカタカナの名前が覚えられなくて苦手ですㅠ_ㅠ 歳のせいではなく、若い頃からです。念の為。
フランスのシングルマザーのお話です。最愛の一人息子ルイが事故にあい、昏睡状態。
ルイが密かに書いていたやってみたいことリストを読んで、それを実行する母テルマ。かなり面白くフランス人ママが挑戦するのを想像すると笑えてくるのですが、そこには息子への愛や自分の再生物語もあってジーンときました。
最初に東京が登場するのも親しみがあって良かったです。
実は作者が男性だったと知って驚きました。母親の心情などがありありと描かれていたので、てっきり女性だと思っていました。
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