「特等添乗員αの難事件Ⅵ」/松岡圭祐
松岡圭祐の特等添乗員αシリーズの第6弾です。
実にシリーズ7年ぶりの新刊だそうです。
私はリアルタイムでは読んでいなかったうえに、万能鑑定士Qシリーズでもたまに主人公の絢奈が登場していたので、そんなに懐かしい!という感じでもありませんでした。
ストーリーは新型コロナを受けた内容で、
ようやく落ち着いて旅行業、観光業も復活の兆しが見え始めたところ、
という設定でした。
舞台は韓国、K-POPを巡るお話です。
正直に言うとK-POPには全く興味がないので、あまりのめり込めませんでした。
ラテラルシンキングもいつもより冴えない気がして・・・。
最後の暗号のところは、私でも分かりました。
そもそも初っ端の伏線(名札に鉛筆)から怪しいと思っていました。(嫌なやつでスミマセン😓)
婚約者、壱条那沖との仲もあまり進展はありませんでしたし…。
待ち望んでいただけに、ちょっと肩透かしな内容だった気がします。
でも、次があったらまた読んでしまうと思います😅
「瑠璃の雫」/ 伊岡瞬
伊岡瞬は以前「いつか虹の向こうに」を読んだことがありましたが、すっかり忘れていました。今回、著者プロフィールを読んでから気が付きました。
その本はあまり記憶に残っていないので、そんなに面白くはなかったのでしょう😅
「瑠璃の雫」は結論から言うと、面白かったです。
3部構成になっていて、第1部は小学6年生の杉原美緒と元検事の永瀬丈太郎との出会い、第2部は過去に戻って、永瀬が検事時代に一人娘、瑠璃を誘拐された話、第3部は成長した美緒が真実に辿り着き、自分自身の家族にも決着をつける話です。
誘拐事件の真実を追うストーリーは目が離せず、そんなことがありえるのか・・・と思いました。芸術家の行いもおかしいし、永瀬がそれを自分の胸にしまって妻に告げなかったのも分かるような分からないような・・・。妻はその事実を知っていたのかどうか・・・。
美緒は誘拐事件の真相にたどり着いた後に、母親と対峙し自分の家族の問題にも決着をつけます。その終わり方はぬるい気もしましたが、それで良かったのかもしれません。
色々な意味で考えさせられるお話しでした。単に泣けるお話しではありませんでした。
「誰かが見ている」/宮西真冬
帯の「あなたは、私の子供じゃない」というコピーに惹かれて購入しました。
初めて読む作家でしたが、メフィスト賞受賞作のようです。昔は雑誌「メフィスト」をよく買っていたので、親近感が沸きました。
主な登場人物は4人プラス1人の女性たち。母親、母親になりたい人、母親になりたくない人などが自分の不幸を大いに語るストーリーはイヤミスでしたね。
子育てブログで他人の写真を偽って、キラキラ感を演出したり、悩み相談をしてくる読者を自分より不幸だと喜んだり・・・。バリキャリの女性が会社や夫の無理解で育休後の復帰を諦めたり、保育士間のパワハラ、ママ友との疲れる付き合いなど、ありきたりと言えばそれまでですが、ディテールが細かく、働く母として”分かる分かる”と大きく頷きながら読みました。
人間の負の部分はオーラがあって面白いのは確かです。読み進む手が止まりませんでした。
このまま全員不幸になって終わるのかと思いきや、ラストにはそれぞれ希望の光がありました。イヤミスかと思っていたので、拍子抜けですがこういう終わりも良いですね。