「罪の声」 塩田武士:著 講談社:刊
★★★★
昭和の大事件、グリコ・森永事件をモチーフにしたフィクションです。
とは言え、大部分が事実に基づいて描かれているそうです。
グリコ・森永事件の時は小学生だったので、もちろん事件のことは覚えていますが、実はこんなことが裏で?行われていたのか、と驚きました。
著者が注目したのが、脅迫テープに使われた子供の声。そこからこの事件を見つめ直し、新たな物語を作っています。
事件によって、人生を狂わされた子供達とその家族。本当にあり得たかもしれない出来事で、胸が痛みました。
圧倒的な面白さで一気読みでした。
最後は泣けてきました。
オススメの一冊です。
「闇に消えた怪人 -グリコ・森永事件の真相-」 一橋文哉:著 新潮社:刊
★★★
「罪の声」に触発されて読みました。知られざる内容が盛り沢山でした。が、真相が分かった訳ではありません。
グリコ社長の一族やら会社の闇の歴史、それらを取り巻く有象無象の人々。様々なところに、事件の原因となりえるだろう事柄があり、むしろ複雑怪奇な事件であることがよく分かりました。
「罪の声」では犯行の原因は”怨み”だったと思いますが、それはグリコやその他被害企業に対する、というより社会全体への怨みだったように思います。イデオロギーでしょうか。
本作ではアンタッチャブルな闇の世界の人たちの関与が濃厚であるように描かれています。平凡な一市民としては、そんな世界は小説やドラマの世界にしかないと思っていました😨
怨恨かカネ目当てか、それすらはっきりせずに、犯人たちが本当に利益を得たのかどうか(恨みを晴らせたのか、お金を手に入れられたのか)・・・。
しかし、複数犯の犯行だったにも関わらず、事件後数十年経っても仲間割れせず沈黙を守っているというのは、確かに謎ですね。
どこかでほころびが出てもおかしくはないはずなのに。
私が死ぬまでに真犯人が見つかることはあるのでしょうか・・・。