「塩の街」有川浩 著 角川文庫
「図書館戦争」繋がりで読みました。
舞台は塩害によって荒廃した世界。「図書館」同様、SF要素が入っていますが、基本現代ものです。
ある日空から降ってきた巨大な塩の結晶。時を同じくして人が塩になって死んでいく「塩化現象」が起き、数千万の人々が死んだ。その後も塩化する人が続出する世界で、出会った自衛官の秋庭と高校生の真奈。2人は秋庭の親友、入江の入れ知恵(?)で世界を救うことにー。
アンソロジーというか、番外編などの短編が入り交じった構成です。多様な視点から物語が語られるので面白い☺
愛の話は、甘々過ぎてこっぱずかしいのですが、それでも泣けてきます。
「図書館戦争」でも感じていましたが、この人は主役はもとより脇役のキャラクター設定がかなりきちんとしていて、単なる脇役で終わらず、それぞれの人生もきちんと描いているので物語に厚みが出ていると思います。
「塩の街」でも入江や野坂夫妻の話がとても興味深く、面白かったですね。
「ブルックリンの少女」 ギョーム・ミュッソ:著 集英社文庫:刊
久しぶりの翻訳ものです。フランスで大人気のミステリらしいです。
この帯に惹かれて購入。
どうやら「どんでん返し」の惹句に弱いようです(^^;
結婚しようとしているカップル。男性は有名な作家でバツイチ子持ち、ラファエル。女性は優秀な医師のアンナ。ラフェエルは常々、アンナが何か過去を隠していると思っており、休暇中に彼女を問い詰めます。すると、彼女が差し出したのが衝撃的な焼死体の写真でした。その後に、アンナは失踪。ラフェエルは隣人で元警官のマルクと彼女を探す調査に乗り出します。すると、アンナの過去に、知られざる驚愕の事実が次々に現れて…。
日仏育児事情の違い
本筋とは関係ありませんが、フランスからアメリカへ子連れで調査に出かけるラファエルにはびっくりでした。しかもまだ乳飲み子なのに…。
アメリカのホテルでは、ベビーシッターに預けて出かけたりして、なんだか日本とは感覚が違うんだなあと。それとも父親と母親の違いでしょうか。
ストーリーは、かなりスリリングな展開でぐいぐいと引き込まれていきます。ラストは確かに「どんでん返し」でした。まさかな、と。
脇役は不遇なまま…
一つ納得がいかなかったのは、アンナ(本当はクレア)の過去がらみで、事故に見せかけて殺された記者のフローレンスのことです。ラファエルは調査の過程で、彼女の元恋人に協力を求め、ジャーナリストの彼も協力してくれていたのですが、最後、ラファエルは敵のゾラーとクレアの解放と引き換えに、手に入れた敵の秘密を不問に付すことにしました。つまり手打ちをしたんです。それでクレアは助かりましたが、真実を知ったフローレンスの恋人はどうなったのでしょうか。その後、なんの記述もありませんでしたが、新聞社を経営する?ジャーナリストの彼がその事実を発表したら、取引はご破算になります。ラファエルは公表しないように頼んだのでしょうか。死んだ人より生きている人のほうが大切なんでしょうけど、なんだかモヤモヤします。フローレンスが浮かばれないというか…。
それでも、面白い本だったことには間違いありません。多くの情報が次々出てきて、舞台もフランスやアメリカの様々な地域に渡るので、長い時間が過ぎたように思っていましたが、たったの3日間の話だったようです。
スピーディすぎる!