「これは経費で落ちません」1〜7巻 青木裕子:著 集英社:刊
最新刊の7巻が出たばかりの「これは経費では落ちません」シリーズを一気読みしました。
ホントに金曜日の夜に読み始め、土曜日中に読み終わりました😁
かなり面白く、ページをめくる手が止まりませんでした😘
お仕事小説と恋愛小説のハイブリッドです。
主人公の森若沙名子は独身27歳、石鹸会社、天天コーポレーションの経理部員として働いています。
会社の人たちとは極力親しくならず、ランチは1人でお弁当、飲み会は義務以外は出ない。
毎日のルーティンを大事にしており、イレギュラーを好まない。
平たく流れる川のように淀みのない生活を送っています。
周りからは少し怖がられており、実年齢よりかなり年上と思われています。
それでも、沙名子は過不足ない自分の生活、人生に満足していたのです。
それが・・・
同じ会社で働く一つ年下の営業部員、山田太陽の登場によって壊されることになります。
笑顔がまぶしい太陽の猛烈アタックに嬉しいような困るような、沙名子の心情がかなり面白く、心の声がかなりツボです。
清廉潔癖な女性と思いきや、心の中は割とダークです。そこがいいところなんです😁
📺ドラマもそこそこ面白い
そもそもこの小説を知ったきっかけはドラマでした。
NHKで今年始めに再放送していたのです。さらっとキャスト紹介(敬称略)。
主人公の森若沙名子役は多部未華子、
恋人役の山田太陽にジャニーズの重岡大毅、
後輩の経理部員、真夕に今話題?の伊藤沙莉、
秘書の有本マリナ役にベッキー、
途中入社の経理部員、麻吹美華に江口のりこ、
広報室の皆瀬織子に片瀬那奈、
頼れる経理部員の田倉勇太郎に平山浩行、
地蔵の経理部長、新発田英輝に吹越満。
芝居上手のメンツが揃っていました。
ドラマはお仕事ドラマとしてそこそこ面白いなあと見ていました。
経理部員という地味な(失礼)仕事ながらも、そこから見える人間ドラマを上手くお話にしていました。
ただ、本を読んでから改めて見ると、沙名子の奥深さ(ダークな一面も含めて)がイマイチ表現できていないような・・・。
各エピソードも微妙に、時には大幅に変えてあったり、登場人物たちのずるさというかマイナス面はあまり出て来ません。
ドラマではエンターテインメントを重視しているからでしょうね。
これはこれで面白いですが。
心に刺さる沙名子語録
沙名子のモットーをよく表しているのが、以下の文です。
わたしの生活は完璧である、と沙名子は思う。これ以上ないくらい。
ひっかかりはなにもない。足りないものも過剰なものもない。きっちりと働いて責任を果たし、働いた分の給料を適正にもらい、自分のために使う。
会社にも、他人にも。与えた以上のものは求めず、求められた以上のものは与えない。
沙名子は、イーブンという言葉が好きである。フェアという言葉よりもわかりやすい。
仕事でミスをした派遣社員の女の子の土下座パフォーマンスを見た沙名子はー。
だいたいツメが甘いんだよ。泣き声は出ているが、涙は出ていないではないか。ここまでやるなら目薬くらい仕込め。石鹸と一緒にドラッグストアで買っておけよ。
腹は熱いのに、頭は急激に冷えていく。
少なくとも沙名子は、いい子でも善人でもない。この中でただひとり。ええ、それでもちっともかまわない。
後日、その派遣社員から送られてきた惣菜を前に、沙名子は思う。
いい子、いい人、善人しかいない。沙名子には住めない、優しくて湿った世界の味である。
そんな沙名子であるが、太陽☀️を好きになってしまう。
人を好きになどなりたくなかった。頼ったり、頼られたり。他人のために自分を削ったり、辛さを人に押し付けようとしたり。そういうことがいやだったのだ。
自分以外の人間によって、自分の世界が崩されるのが怖い。
頭ではそう考えているのに、沙名子は太陽の手をふりほどけない。ずっとこのまま歩き続けていたいと思い、そう思う自分に戸惑っている。
太陽との出会いによって、沙名子がどんどん変わっていくのが、とても興味深いのです。
今後の新刊にも期待しています❤
「高校事変Ⅶ」松岡圭祐:著 角川文庫:刊
ついに出ました!最新刊。
時は本格的なコロナ禍の始まりの3月。
優莉結衣は前回の事件のあと、ある矯正施設に入れられていました。
ある日訪ねてきた刑事によって、甲子園署に連れて行かれ、そこで何が始まるのかと思いきや、昨年の夏の甲子園に話は遡ります。
つまり、シリーズ第1弾の武蔵小杉高校事変が起こる前です。結衣は栃木の泉が丘高校に通っていました。
時が前後しながら進むので、少し混乱してしまいました😣
結局は刑事たちが署ごと陰謀に加担して、第三国からの武器や傭兵、さらには毒性のあるウイルスを密輸するために人気のない甲子園を利用していたのです。
その犯人を結衣に仕立てあげるために、甲子園に再び連れて来たのでした。
しかし、刑事たちの中に結衣の味方になる1人が現れ、距離を置いていた高校の同級生たちも結衣を助けることになり、陰謀は失敗に終わります。
シリーズが進むうちに、結衣は徐々に心を開いていっているように見えます。そして周りも結衣を認め始めているようです。
ラスボスは田代ファミリーの勇次の兄の勇太。毒性ウイルスを撒き散らそうとする勇太に果敢に挑む結衣。
最後はもちろん結衣の勝利で終わります。
結局、泉が丘高校に復学できることになり、生徒にも受け入れられる結衣。
新しい学校生活が始まろうとしていますが、新しく赴任してきた教師、伊賀原がきな臭いと思うのは私だけでしょうか。
そして最後に異母兄がちらりと登場。
どうなる??結衣??
次回作は8月?と思いきや
次回作は8月刊行予定です。
まだまだだなぁと思っていたら、巻末にこんなページが。
早速検索すると、なんと来月には万能鑑定士Qの0シリーズが発売されるそうです!
出版社が違うので、はっきりと宣伝を載せていなかったんでしょうか。
→同じ角川文庫でした・・・
嬉しい限りです😁
アクションだらけの「高校事変」とは違って、人が死なないミステリの万能鑑定士も大好きです!