松岡圭祐さんの『高校事変』シリーズ。
気づけば第3巻から第5巻まで一気読みしていました。
毎回思うんですが、このシリーズ、
「いやいや、それはさすがに無理やろ」
という設定を、ものすごい勢いで読ませてきます。
読み始めると止まらない。
悔しいけど面白い。
そんなシリーズです。
「高校事変Ⅲ」 松岡圭祐:著 角川文庫:刊
松岡圭祐の「高校事変」シリーズの第3弾です!
今回の舞台は、まさかの海外。
ミャンマー近くの離島です。
高校どころか、もう日本ですらありません。
妹・凛香から矯正施設「塚越学園」の話を聞いた結衣。
見学へ向かう途中で襲われ、目を覚ますと東南アジアの島。
そこには「チュオニアン」という施設があり、日本で虐待を受けたり、親に見放された子どもたち700人以上が集められ、厳しい生活を強いられていました。
700人。
スケールが毎回おかしい。
「これはさすがに脱出無理では?」
と思うんですが、
もちろん脱出します。
しかも、みんなで。
結衣も少しずつ仲間を信じるような場面が増えてきて、人間味が見えてきました。
毎回誰かが裏切るんですが、
「この人だけは違うやろ。」
と思った人ほど裏切ります。
完全に作者の思うツボです。
そして最後。
島で見つけた一枚の写真。
武蔵小杉高校事件の田代勇次によく似た男性が写っています。
でも、この時点では何の説明もなし。
「あれ?」
と思ったまま終わります。
この違和感が、第4巻でちゃんと回収されます。
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「高校事変Ⅳ」 松岡圭祐:著 角川文庫:刊
知らない間に第4弾も出ていました。
第4巻では結衣の弟・健斗が登場。
……したと思ったら、
あっという間に亡くなります。
登場と退場が早い。
健斗の死の真相を追って結衣が乗り込むのは、韓国系半グレ集団「パグェ」のアジトになっている清墨学園。
学校なのか、犯罪組織なのか。
もうタイトルだけが高校です。
そこへ結衣を監視している公安刑事まで加わり、またしても大乱戦。
もはや武蔵小杉事件の再演です。
そして終盤。
ラスボスを倒したと思ったら、
さらに黒幕。
その正体が……
田代勇次の父親。
ここでようやく、第3巻で出てきた写真の伏線が回収されます。
あれは勇次ではなく兄でした。
そして父親は公安や政治家ともつながる大物。
さらに、
武蔵小杉高校事変そのものも、この父親が裏で糸を引いていた。
え?
第1巻の事件、今さら全部ひっくり返るの?
という驚き。
しかも勇次本人まで父親側だったという展開。
もう誰を信じたらいいのか分かりません。
結衣じゃなくても疑心暗鬼になります。
第1巻の伏線を、第4巻で回収する構成は本当に見事でした。
ちなみに今回の時事ネタは、
・台風19号による武蔵小杉の浸水
・京アニ放火事件
このシリーズは、実際の社会問題をかなり大胆に取り込んでくるのも特徴ですね。
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「高校事変Ⅴ」 松岡圭祐:著 角川文庫:刊
そして気づけば第5巻。
「こんなに続くシリーズになるとは。」
第1巻を読んだ頃は思ってもいませんでした。
今回はアクションだけではなく、結衣の過去がかなり掘り下げられます。
父・優莉匡太が逮捕されるきっかけとなった銀座デパートでのサリン事件。
そこで結衣が体験したこと。
半グレのアジトから救出された直後、自ら命を絶とうとしていたこと。
これまで最強無敵だった結衣にも、こんな過去があったのかと思わされます。
さらに登場するのが、サリン事件で両親を亡くした梶沙津希。
そして武蔵小杉事件で結衣に助けられた濱林澪。
二人が農業高校で出会い、また事件に巻き込まれます。
今度は学校でサリン製造。
しかも街中へ散布する計画。
高校って何なんでしょう。
結衣は完全に犯人に仕立て上げられる流れになります。
半グレと公安まで手を組み、
「これはさすがに終わったのでは?」
と思います。
でも終わりません。
結衣ですから。
そして個人的に一番驚いたのがここ。
妹・凛香の母親が、『探偵の探偵』シリーズの市村凛だったこと。
まさか作品世界がつながるとは。
さらに結衣も一時期、市村凛と暮らしていたという設定。
「あの行動力や駆け引きは、そこから来ていたのか。」
と妙に納得しました。
そして凛香にも、まさかの秘密。
伏線の張り方が本当に細かい。
「あれって、あの時の話だったの?」
が何度もあります。
読み返したくなるシリーズですね。
ここまで読んで気になっているのが、結衣の家族。
弟も妹も登場しました。
でも結衣は次女。
ということは長女がいるはず。
なのに、これまでほとんど語られていません。
このまま終わるとは思えないので、今後どこかで重要人物として出てくる気がしています。
そして驚いたことに、第6巻もすぐ刊行予定とのこと。
どこまで話が広がるのか。
高校事変というタイトルなのに、もう高校の外へ世界規模で飛び出していますが、それでも続きが気になってしまう。
完全に作者の術中です。
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