「オレオレの巣窟」 志駕晃:著 幻冬舎:刊
読んでから気がつきましたが、「スマホを落としただけなのに」の作者でした。
「スマホを〜」は本は読んでいませんが、飛行機内で映画を見ました。かなり凝ったストーリーで面白かった記憶があります。
「オレオレ〜」も面白かったです。オレオレ詐欺の手口のみならず、そこで働く詐欺師たちの心情も興味深かったです。
受け子は本当に使い捨てで、捕まっても何も知らされていないので、詐欺グループは打撃を受けることはありません。受け子から掛け子になることを希望したフリーターの松岡は地獄のような研修を耐え抜き、立派な掛け子になりました。
この松岡が実は…。
まんまと騙されました!
詐欺グループの社長・平田が若干、いい人に描かれているのが気になりました。が、意外にそんなものなのかもしれないですね。
ラストも爽快で読後感良しです。
余談ですが、先日放送が終わったNHKのドラマ「サギデカ」の1回目の放送内容がそっくりでした。
まぁ、実情に即しているのでしょうね。
「誘拐児」 翔田寛:著 講談社:刊
江戸川乱歩賞受賞作ということで、楽しみにしていました。
ミステリというだけでなく、泣けるお話しもあり、よく出来ていたと思います。
ただ、主人公が魅力的かと言うと、そうでもなく、15年前に誘拐された子供なのですが、イマイチ感情移入ができませんでした…。
実の母親と思っていた人が死に際に残した言葉から、自分の生い立ちを追い求める主人公。徐々に明らかになる母親の過去。ちょっとうまくいきすぎ?な感が否めません。
最後は希望のある終わり方だったと思いますが、全体的に暗いイメージでした。